ミノルさん（仮名）のこと

 知り合いにミノルさん（仮名）という人がいて、まさに４３歳独身の人です。
自宅に工房を構えている職人さんで、数年前に自宅も工房も新築したかい性のある人です。
４０すぎながら、ぴしっとしまった体で背も高くなかなかの男前なのですが、どうにも恋に縁遠く、嫁が欲しくてしかたないのに嫁の来ない人なのです。
そんな彼が最近失恋したらしい、と後輩から聞きました。
「こないだ皆で飲んでたんですが、ミノルさんが失恋したって荒れてたんですよ」
との話で、わたくし興味しんしん。
だって、ミノルさんが失恋というか、恋をしている状態を想像できないですもん。
ちょっと詳しく話しなさいよ、と後輩を締め上げたところ、以下のような話でした。

「朝、犬の散歩をしていて、ふと同じく犬の散歩をさせていとても好みの女性と出会い、話をするようになったのだが、数回散歩で一緒になった後、彼女は散歩コースを変えてしまった。俺はあっというまに失恋してしまった」

と嘆いていたのだそうです。
ミノルさん、それ、失恋もなにもまだ恋が始まってもいないから！
想像するに、純情なミノルさん、彼女への話しかける感じが必死すぎたのではないでしょうか。
そして彼女に引かれたのでは。
と後輩と協議したんですけど。
「ミノルさん、そこそこかっこいいのに、いい歳して中学生みたいでダメっすよねー」
なんて後輩に言われてしまう始末。
恋をすると中学生みたいな４３というのもまあ芸風としてはありだと思うので、頑張れミノルさん。
次にミノルさんの恋バナを聞けるのはいつの日かわからないけれど、ハッピーな恋バナを期待してるよ！